電子レンジは どうやって 食べものを温めるの?
「▶ みせて」で、ターンテーブルを止めた時とまわした時を比べます
5℃100℃
① 電気からマイクロ波をつくる
コンセントの 100 V をトランスで約 2,000 V にし、コンデンサとダイオードの倍電圧回路(ピーク値をほぼ倍にする)を通して、動作中のマグネトロンに約 4,000 V の直流をかける。中では熱いヒーターから出た電子が、磁石の力で渦をまくように回り、陽極に並んだ小さな空洞をゆすって、1 秒に 24.5 億回(2.45 GHz)ふるえる電波=マイクロ波を生む。効率は約 70%、出力 600 W(電流 約 214 mA)。熱くなるマグネトロンはファンで冷やす。② 金属の箱の中で波が重なる
マイクロ波は金属の四角い管=導波管(この図は内のり 86.4 × 43.2 mm の規格品の寸法)を通って庫内へ入る。管の中の波長は約 17.3 cm、外では 12.2 cm。金属の壁で何度もはね返った波は重なり合い、強い所(腹)と弱い所(節)が決まった場所にできる(定在波)。この図の庫内 32×28.5×20 cm では腹が 12 か所、約 8〜9.5 cm おき。③ 水の分子がゆれて熱になる
水の分子は、酸素の側が−、水素の側が+に少しかたよった電気をもつ(電気双極子)。電界の向きが 1 秒に 49 億回入れかわるたびに向きをそろえようとして揺れ、まわりとこすれ合って熱になる。食品の中の水が自分で発熱するので、器やまわりの空気はあまり温まらない。絵の動きはとても遅くしてある。④ まわしてムラをならす・扉で閉じこめる
止めたままだと腹の所だけが熱くなる。ターンテーブルは 1 分に約 6 回転して、食品を腹と節に順にくぐらせる。それでも回転の中心は同じ場所にとどまるので温まりにくい(ドーナツ形に並べるとよい)。扉の金網の穴は直径 1〜2 mm ほどで、波長 12.2 cm のマイクロ波は通れないが、波長の短い光は通るので中が見える。扉を開けると安全スイッチでマグネトロンが止まる。だいじな考え:電子レンジは「熱を外から当てる」のではなく、マイクロ波で食品の中の水の分子を揺らし、食品の中で熱を生ませる。だから水の多いものほどよく温まり、氷(分子が動きにくい)は温まりにくい。
数字は模型(model.mjs)から出しています。食品は半径 9.2 cm・厚さ 1.2 cm・319 g、比熱は水と同じ 4.18 J/(g·K) とし、出力 600 W がすべて食品に入るとしました(平均で毎秒 約 0.45 ℃ 上がる)。庫内の電界は、この箱の大きさで 2.45 GHz に共振する形のひとつ(TM430・計算上 2.450 GHz)で近似しています。実機は多くの形が重なり、かくはん羽根や回転アンテナでも混ぜます。100℃で頭打ちにしているのは、そこから先は水が蒸発に熱を使うためです。熱が食品の中を伝わる速さ(約 1.4×10⁻⁷ m²/s)はとても遅く、1 分で数 mm しか広がらないので、ムラはなかなか消えません。電圧・効率・出力は家庭用の一例です。