LLMを「モデル」と「ランタイム」で分けて理解する
Qwen・Ollama・vLLM ―― 同じ「LLM」という言葉でも、指しているレイヤーが違う
「LLM」は最低でもモデル / 推論ランタイム / ハードウェアの3層に分解できる。 Qwen、Ollama、vLLMという単語が混線する原因は、この3つを同じ粒度で扱ってしまうことにある。
1三層で捉える
学習によって得られたTransformerの重み(パラメータ)。計算内容そのものを規定する成果物。
重みをメモリに載せ、forward passを回してトークンを生成するソフトウェア。
実際に行列演算を処理する物理基盤。
QwenはAlibabaが学習させたモデル本体。「何を計算するか」を決める成果物であり、コンテンツそのものにあたる。 Ollama / vLLMはその重みを動かす推論ランタイムで、コンテンツを再生するプレイヤーに近い。
この2つは直交する軸。同じQwenをOllamaでもvLLMでも動かせるし、逆にOllamaでLlamaやGemmaを動かすこともできる。 「モデルを変える」ことと「ランタイムを変える」ことは、まったく別の選択である。
2Ollama と vLLM は「同じレイヤーの別実装」
両方とも推論ランタイムだが、最適化している目的関数が違う。片方がもう片方の上位互換ではない。
| 観点 | Ollama | vLLM |
|---|---|---|
| バックエンド | llama.cppが中核 | 独自エンジン(CUDA中心) |
| 設計思想 | ローカル・単一ユーザー・簡便さ | サーバ・高スループット・多重同時 |
| 中核技術 | GGUF量子化 + Metal/CPU-GPU混在 | PagedAttention + Continuous Batching |
| 同時実行 | 低並列向き | 大量リクエストを効率的に交錯処理 |
| モデル形式 | GGUF | safetensors + AWQ/GPTQ/FP8/NVFP4 等 |
| 分散 | 基本しない | Tensor Parallelismで複数GPU分割 |
要点:Ollamaは「1台の手元マシンで手軽に1発」を、vLLMは「GPU利用率を極限まで上げて多重に捌く」ことを目的関数にしている。 用途が違うだけで、優劣の関係ではない。
3具体例 ―― レイヤー分離の実地証明
同じ論理モデル「Qwen」が、ランタイムに応じて物理的な梱包(フォーマット・量子化)を変える。
ollama/qwen3:14b → GGUF形式 → llama.cppがMetalで実行
NVFP4量子化したsafetensors → PagedAttentionでスループットを引き出す
Qwenという同一の知識体が、実行環境の要求に合わせて別の器に詰め替えられている。
4まとめ
ローカル・簡便・GGUF
サーバ・高スループット・safetensors
「LLM」を語るときは、いまモデルの話をしているのか、ランタイムの話をしているのかを分けるだけで、混線は消える。