実務ツール / 知財・情報フェア2026を歩いて・個別編 / 2026.09.19
root ip の1年分アップデートを6テーマで読む── 検索・つなぐ・記録・伝える・一括・安心、そして API
知財管理システムは、派手な AI 機能より「毎週やる作業が何回減るか」で価値が決まる。知財・情報フェア2026の root ip ブース(3-E08)では、過去1年の新機能を6つのテーマに束ねて20分ほど丁寧にご説明いただいた。本稿はその6つのテーマという整理そのものが、管理システムを検討するときの良い手がかりになると感じたので、テーマごとに教えていただいたことを書き留める。個々の機能は、公開マニュアルとお知らせで確認できる範囲だけを書き、会場でしか聞いていない項目は名前を挙げるにとどめる。
形式 ブースで教えていただいたことのテーマ整理+自分たちが確認したい点
出典 2026年9月16日、root ip ブースでの新機能説明(約20分)と同社の公開資料
対象 知財管理システムの乗り換え・初導入を検討している人
00読み方
「6テーマ」という整理が分かりやすかった
説明は「検索」「作る・つなぐ」「記録する」「伝える」「まとめて処理する」「安心して使う」の順だった。この順序は、管理システムを検討するときに自分たちが確認したい6つのことと、そのまま重なっていた。毎週の期限確認は何回のクリックで終わるか。外のシステムとどうつながるか。メモは個人の付箋か組織の記録か。発明者への連絡は返ってくるか。100件を一度に処理できるか。認証は現実的か。以下、テーマごとに公開資料で確認できることを書く。
01検索
「毎週同じ検索」を一回にする
- 検索条件の保存。公開マニュアルに「検索式を設定する・検索条件を保存する」の項がある。よく使う条件を名前付きで保存し、呼び出す設計
- 会場でご説明があった項目。相対的な日付での検索、除外条件の細かな指定、複数列でのソート、表示項目の拡充。公開マニュアルでは確認できなかったので、詳細は同社にお問い合わせいただきたい
自分たちにとっては「保存した条件が、翌月も同じ意味で呼べるか」が確認したい点になる。期限管理は毎週同じ検索を、日付だけずらして繰り返す作業だからである。
02作る・つなぐ
提出書類と、外へ出す API
- API。公開マニュアルに「API 概要」の項があり、公式サイトも API 連携による自動化を掲げている
- 外部サービスとの連携。お知らせで、特許 AI アシスタント「サマリア」との連携(2026年2月)、「審査官ラボ」との連携(2025年11月)が公表されている
- 会場でご説明があった項目。特許庁提出書類の作成支援、意匠見本画像の取り込み、API で取得できる項目の拡充。公開資料では詳細を確認できなかった
自分たちが確認したい点:差分が取れるか
外部から管理システムのデータを同期するとき、全件を毎回引くか差分だけ引くかで負荷が桁で違う。API についてお伺いするなら、レコードの更新日時が取れるか、認証方式は何か、レート制限はどうか、変更履歴は公開されるかを、契約前にご相談して文書で確認したい。エージェントから利用する前提なら、ここが実用性を決める。
03記録する
メモを「個人の付箋」から「組織の記録」へ
- 案件メモ・ファミリーメモ。公開マニュアルに「案件にメモを登録する」の項がある
- 会場でご説明があった項目。短いメモや定型タグの共有、メモごとの権限、添付メールのプレビュー。公開資料では詳細を確認できなかった
自分たちが確認したい点は「発明者や代理人に見せるメモと、社内だけのメモを分けられるか」。ここが分かれていないと、メモは書かれなくなる。
04伝える
返事の負荷を下げる
- ワークフロー。公開マニュアルに複数のワークフロー関連の項がある
- 会場でご説明があった項目。連絡文の書式設定、宛先の To/CC の区別、選択式の回答フォーム。公開資料では詳細を確認できなかった
発明者側の返信率は、返事の手間で決まる。確認したい点は「発明者が選ぶだけで返せるか」。
05まとめて処理する
一括操作と取り込み
- 一括処理。公開マニュアルに一括処理の項がある
- NGB 年金管理サービスとの連携強化。2026年2月のお知らせで公表。年金管理を委託している場合のデータ連携
- 会場でご説明があった項目。アクションの一括変更、請求書データの一括登録。公開資料では詳細を確認できなかった
06安心して使う
認証と防御
会場では、ログイン時の認証方式の追加と、不正アクセス対策・通信保護の強化についてご説明があった。公開資料では詳細を確認できなかったため、項目名の列挙は控える。確認したい点は「スマホの認証アプリを全員に配れない組織でも二要素にできるか」で、これは小さな組織ほど切実である。
07確認したい点
管理システムを検討するときに、自分たちが確認したい点
特定の製品を勧めるものではない。6テーマに沿って、自分たちがどの製品にもお伺いしたいことを並べる。
- 管理と分析は分けて考える。期限・書類・請求・年金の管理は「毎週の作業が消える」領域で、分析や調査とは別の要件を持つ。管理システムに分析機能まで求めるか、分析は別の道具に任せるかを先に決めると、選ぶ製品が変わる
- API は文書でお伺いする。認証方式、レート制限、更新日時の有無、変更履歴の公開、後方互換の方針。会場でのご説明だけで判断せず、あらためてご相談する
- 移行の実務をお伺いする。既存のスプレッドシートや旧システムからの初期移行で、CSV の型と検証がどう行われるか
- 認証の現実性。二要素認証の方式が、自組織の端末事情で運用できるか
- 連携先の広がり。公表されている外部サービス連携(root ip の場合はサマリア・審査官ラボ・NGB)が、自分たちの業務の流れに合うか