USPTO AI 発明者性ガイダンス — 図解
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米国特許商標庁(USPTO)・一次資料の図解サマリー

AIが手伝った発明は、
誰のものか

米国特許庁の到達点はシンプルな2本柱——①AIは発明者になれない。②でもAIを使った発明は、ちゃんと特許になりうる。鍵は「人間が"重要な貢献"をしたか」。

出典: USPTO — AI Initiatives / 2024年2月ガイダンス → 2025年11月改訂版
特許制度は人間の創意工夫と、それを製品に変える投資を奨励するために作られた。だから審査の焦点はAIの働きぶりではなく——「記名された人間が、発明者と言えるだけの重要な貢献をしたか」に置かれる。

01

2本柱の原則

✗ できない

AIは発明者になれない

米国特許法上「発明者」は発明を生み出した"個人(individual)"。自然人だけが記名できる。AIシステムは、どれだけ賢くても発明プロセスの「道具」にとどまる。

35 U.S.C. § 100(f) / Thaler v. Vidal(連邦巡回区・2022)=DABUS事件
✓ できる

AI支援発明は特許可能

AIを使ったこと自体は拒絶理由にならない。AI支援発明が一律に特許不可ということはない(not categorically unpatentable)。ただし少なくとも1人の自然人が重要な貢献をしていること。

新しい基準は作らない=あらゆる発明に同じ法を適用
02

判断の中心:人間の「重要な貢献」

問うのは「AIの貢献が発明者級か」ではない。「記名された人間が、発明者と呼べるだけの貢献をしたか」だ。少なくとも1人、その要件を満たす人間がいれば特許は取れる。

AI支援発明 AI-assisted 人間の 重要な貢献? あり 特許取得可 人間を発明者に記名 なし 発明者不在 → 特許不可

審査官の視点:AIが発明者級の働きをしても構わない。問題は「人間側の貢献の有無」

03

ガイダンスの変遷(2024 → 2025)

2本柱は不変。変わったのは「重要な貢献」をどう当てはめるかの枠組み。

2022

Thaler v. Vidal(DABUS事件)

連邦巡回区が「発明者は人間でなければならない」と判断。AI「DABUS」を発明者とする出願を却下。以後の大前提に。

2024年2月

初版ガイダンス

AI支援発明にも、従来の共同発明の判例「Pannu factors」(Pannu v. Iolab, 1998)を当てはめて重要貢献を判定する枠組みを提示。具体例集も公表。

2025年11月

改訂版(現行)

Pannu factors偏重の枠組みを撤回し、従来の発明者性の判例法に回帰。記名された発明者を実際の発明者と推定し、争う側が反証する(推定規則)。大統領令 EO 14179(米国のAIリーダーシップ強化)を背景に、過度な負担を避ける方向へ。

04

「重要な貢献」の考え方(例)

境界は事案ごと。以下は2024年2月版ガイダンス(2025年11月28日に全部撤回)が示していた例示で、現行の2025年11月版にはプロンプトについての記述がない。現行版はAIを実験装置と同じ道具とし、従来の着想(conception)の基準で判断する。考え方の目安として読むこと。続き:着想か、実装か — 日本の判例と職務発明規程から見た発明者

✗
課題を認識してAIに投げるだけ——「こういう問題を解いて」と提示しただけでは、重要な貢献とは言いにくい。
△
プロンプトの構築に実質的に寄与——特定の解へ導くプロンプト設計に踏み込めば、貢献と認められる可能性がある。
✗
AIを「所有・支配」しているだけ——AIやシステムを保有・運用している事実だけでは発明者にならない。
✓
AI出力を評価し、発明として結実させる設計判断——出力の取捨選択・改良・実装で発明概念を形にすれば、重要な貢献となりうる。
05

知財実務のポイント

01

人間の発明者を明確に

出願時、重要な貢献をした自然人を確実に記名する。少なくとも1人が要件を満たすこと。

02

貢献の記録を残す

発明概念の形成過程での人的寄与(設計判断・プロンプト・評価)を証拠として保管。

03

AI利用=拒絶ではない

AIを使った事実だけでは拒絶理由にならない。新規性・進歩性等は別途独立に審査される。