米国特許庁の到達点はシンプルな2本柱——①AIは発明者になれない。②でもAIを使った発明は、ちゃんと特許になりうる。鍵は「人間が"重要な貢献"をしたか」。
米国特許法上「発明者」は発明を生み出した"個人(individual)"。自然人だけが記名できる。AIシステムは、どれだけ賢くても発明プロセスの「道具」にとどまる。
AIを使ったこと自体は拒絶理由にならない。AI支援発明が一律に特許不可ということはない(not categorically unpatentable)。ただし少なくとも1人の自然人が重要な貢献をしていること。
問うのは「AIの貢献が発明者級か」ではない。「記名された人間が、発明者と呼べるだけの貢献をしたか」だ。少なくとも1人、その要件を満たす人間がいれば特許は取れる。
審査官の視点:AIが発明者級の働きをしても構わない。問題は「人間側の貢献の有無」
2本柱は不変。変わったのは「重要な貢献」をどう当てはめるかの枠組み。
連邦巡回区が「発明者は人間でなければならない」と判断。AI「DABUS」を発明者とする出願を却下。以後の大前提に。
AI支援発明にも、従来の共同発明の判例「Pannu factors」(Pannu v. Iolab, 1998)を当てはめて重要貢献を判定する枠組みを提示。具体例集も公表。
Pannu factors偏重の枠組みを撤回し、従来の発明者性の判例法に回帰。記名された発明者を実際の発明者と推定し、争う側が反証する(推定規則)。大統領令 EO 14179(米国のAIリーダーシップ強化)を背景に、過度な負担を避ける方向へ。
境界は事案ごと。あくまで考え方の目安として、ガイダンスが示す方向性。
出願時、重要な貢献をした自然人を確実に記名する。少なくとも1人が要件を満たすこと。
発明概念の形成過程での人的寄与(設計判断・プロンプト・評価)を証拠として保管。
AIを使った事実だけでは拒絶理由にならない。新規性・進歩性等は別途独立に審査される。