電子レンジは、どうやって食べものを温めるのか外箱と天井を外した、押して動く電子レンジの図と57秒の動画
「電子レンジの原理と構造と、温まる仕組みを図にできる?」という問いに、Claude Code のスキル anatomy で答えた作例です。外箱と庫内の天井を外した電子レンジを描き、スタートを押すと電線に高電圧が通り、導波管を波が進み、庫内の床で電界の強い場所が明滅し、皿の上の食品が温度の色に変わっていきます。ターンテーブルを止めたときとまわしたときで、温まり方がどう違うかも比べられます。
使った道具と作者
・図は github.com/wheresryan22/anatomy(作者 Ryan、MIT License、commit 1482e84)の kit で作りました。kit のコードを含むので、図のファイルの先頭に MIT License の著作権表示と許諾文を入れています。
・スキルの導入手順と最初の作例(空気入れ・空気圧機器)は 質問を、押して動く機械の図にする にまとめています。
図:押して動かす
「▶ あたためる」で電源が入ります。「ターンテーブル」で回す/止めるを切りかえ、「もどす」で冷蔵庫から出したばかりの 5℃ に戻ります。「▶ みせて」は、止めたまま温めた場合とまわして温めた場合を続けて見せます。食品の温度は 5 倍の早送りで進みます(「はやさ」で等倍にできます)。
図1 外箱と天井を外した電子レンジ。キーボードではスペースで温める、T でターンテーブル、R でもどす。別の画面で開く
動画:57秒で見る
同じ図をそのまま使い、7つの場面に分けて寄りながら説明した縦型の動画です。数字も動きも、図と同じ模型から出ています。
しくみ:4つの段階
① 電気からマイクロ波をつくる
コンセントの 100 V をトランスで約 2,000 V にし、コンデンサとダイオードの倍電圧回路を通して、動作中のマグネトロンに約 4,000 V の直流をかけます。マグネトロンの中では、熱いヒーターから出た電子が磁石の力で渦をまくように回り、陽極に並んだ小さな空洞をゆすって、1 秒に 24.5 億回(2.45 GHz)ふるえる電波=マイクロ波を生みます。熱くなるマグネトロンはファンで冷やします。
② 金属の箱の中で波が重なる
マイクロ波は金属の四角い管(導波管)を通って庫内に入ります。金属の壁で何度もはね返った波は重なり合い、電界の強い所(腹)と弱い所(節)が決まった場所にできます。これが定在波です。図では、庫内の大きさで 2.45 GHz に共振する形の一つで近似しました。
③ 水の分子がゆれて熱になる
水の分子は、酸素の側が−、水素の側が+に少しかたよった電気をもっています。電界の向きが 1 秒に 49 億回入れかわるたびに、分子は向きをそろえようとして揺れ、まわりとこすれ合って熱になります。食品の中の水が自分で発熱するので、器やまわりの空気はあまり温まりません。氷は分子が動きにくいので温まりにくい。
④ まわしてムラをならし、扉で閉じこめる
止めたままだと、腹の所だけが熱くなります。ターンテーブルは食品を腹と節に順にくぐらせてムラを小さくしますが、回転の中心はいつも同じ場所にいるので温まりにくいままです(ドーナツ形に並べるとよい、と言われる理由)。扉の金網の穴は 1〜2 mm ほどで、波長 12.2 cm のマイクロ波は通さず、波長の短い光は通すので中が見えます。扉を開けると安全スイッチでマグネトロンが止まります。
数字はどこから来るか
図の数字と動きは、すべて一つの模型(model.mjs)から出しています。電圧・効率・出力は家庭用の一例です。
| 前提・結果 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| 周波数 | 2.45 GHz | 電子レンジに割り当てられた周波数帯 |
| 波長(空気中) | 12.2 cm | 光の速さ ÷ 周波数 |
| 導波管の内のりと管の中の波長 | 86 × 43 mm/17.3 cm | 規格品(WR-340)の寸法での値 |
| 庫内の大きさ | 32 × 28.5 × 20 cm | この大きさで、TM430 という共振の形が計算上 2.450 GHz になる |
| 電界の腹 | 12 か所 | 8〜9.5 cm おき。床で明滅する場所 |
| 出力/効率/電圧/電流 | 600 W/70%/4,000 V/214 mA | マグネトロンの例 |
| 食品 | 319 g | 半径 9.2 cm・厚さ 1.2 cm、比熱は水と同じとした |
| 平均の上がり方 | 毎秒 約 0.45 ℃ | 600 W がすべて食品に入るとした場合 |
| 止めたまま 41 秒 | 最高 88 ℃・最低 5 ℃ | 腹の所だけが熱い |
| まわして 41 秒 | 最高 40 ℃・最低 6 ℃ | ムラは小さいが、中心は冷たいまま |
熱が食品の中を伝わる速さ(温度拡散率 約 1.4×10⁻⁷ m²/s)はとても遅く、1 分で 3 mm ほどしか広がらないので、ムラはなかなか消えません。100 ℃ で頭打ちにしているのは、そこから先は水が蒸発に熱を使うためです。実機は多くの共振の形が重なり、かくはん羽根や回転アンテナでも混ぜます。
作り方とたしかめ方
- 模型が先:周波数・庫内寸法・出力・食品の重さから、電界の形と温度の変わり方を計算する部品を最初に書き、図はそれに従って動かしました。
- 物そのものが説明:右の機械室に、トランス、高圧コンデンサとダイオード、マグネトロン(磁石と冷却フィン)、導波管、冷却ファン、高圧の電線を描いています。扉のガラスの内側には金網の穴があります。
- たしかめ:どこにもつながらずに止まる線の検査(0件)、明るい版と暗い版、スマホ幅、動きを減らす設定で表示を確認しました。説明文の数字は、作業に加わっていない別のエージェントに確認させ、指摘を受けた1点(倍電圧回路の言い方)を直しています。
この頁の図と動画は、anatomy(Ryan 作、MIT License)の kit を使って作成しました。作者に感謝します。