知財戦略体系化 ― 全体像

知財戦略は、分析では終わらない。引き受けて束ねる当事者まで設計して、初めて事業を強くする。

 羽矢崎 聡。YouTube「#知財戦略体系化」(野崎篤志さん・楠浦崇央さんと)の第10回「プロジェクト再スタート」にあわせ、止まっていた半年の振り返り、論考の体系マップ、67事例の分析を、1枚の物語にまとめました。詳しくは各段のリンクから。配信で使ったスライドは Web 版(25枚) でめくれます。

一物語 ― 五つの段で

1

原点

事業で勝つための知財。事業・研究開発・知財の三位一体(丸島儀一)は、AI の時代も変わらない。AI が上げるのは実行の速度と視野。

原点と答え合わせ →
2

半年の実証

AI で「作る」「探す」は安くなった。詰まる場所は、問い・人の着想と実測・決める場へ移った。設計責任に検証責任が加わった。

新しく分かったこと →
3

体系化

論考148本を6層27ノード×事業の局面の地図に。67事例を五つのレンズと BCG ダイヤモンドで分析した。

体系マップ →
4

発見

三位一体が噛み合うかを決めるのは、局面より「当事者」。長期の投資の下振れを、誰が引き受けて束ねるか。

事例分析 →
5

進め方

生きた体系を母艦に、会・道具・本をつなぐ。配信1回ごとに1つ前へ。まず次の90日。

次の90日 ↓

知財戦略は、分析では終わらない。長期の投資を引き受けて束ねる当事者まで設計して、初めて事業を強くする。

二構造 ― 問いの順番と、当事者の条件

五つのレンズと時間軸は、知財戦略を考えるときの「問いの順番」として使える。最後の問いが、今回の事例分析で足したもの。

  1. いつ・どの順でBCG ダイヤモンド:創造期 → 成長期 → 優位性確立期 → 効率性追求期(相葉宏二『プロが教える 問題解決と戦略スキル』)。創造期は「知の探索」、成熟期は「知の深化」が主になる(入山章栄『世界標準の経営理論』第12・13章)
  2. 何を揃えるか丸島の三位一体:事業・研究開発・知財の向き。主語は経営者
  3. 誰が価値を取るかTeece:専有可能性が弱ければ、補完資産を持つ側へ流れる
  4. どこまで内に持つか分業と結合:スミス → チャンドラー → モジュール化 → 小川の「伸びゆく手」
  5. どこを開き、閉じるか小川のオープン&クローズ:市場を広げる境界と、利益を取る一点
  6. 誰が引き受けて束ねるか所有と実行:権限・資本・時間・報酬を一つの当事者に束ねる(ベイン型はその一形態)

三位一体が噛み合う、当事者の三つの条件

換金の手段を持つ

製造・販路・標準・データ・資本といった補完資産を持つか、作れる位置にいる。

説得でなく決定できる

権利・技術・資本・科学の四つの時計を一枚で読み、決められる権限がある。

束ねる単位が合っている

価値の重心と同じ層・同じ国で束ねている。重心が動けば束ね直す。

次の仮説 ― なぜ創造期は一体的なのか(探索の理論)

創造期に三位一体が噛み合うのは、探索が一体でしか回らないから。その非効率を引き受ける当事者がいて、初めて噛み合う。

これは次に確かめる仮説。67事例の局面に「探索/深化」を付け直し、成熟期でも噛み合いを保った事例(クアルコム、ダイソンなど)が探索を続けていたか(両利き)を確かめる。文献:入山章栄『世界標準の経営理論』第12・13章、March (1991)、Levitt & March (1988)、Lai & Robbins (1985)、Levinthal (1997)、Manso (2011)、Thomke『Experimentation Matters』。羽矢崎の OI-WG 論考「荒れた地形の歩き方 ― 多仮説並列探索の合理性と、その限界条件」とつながる。

はじめの仮説「三位一体は新規事業の創造期に宿命的に噛み合う」は、67事例で部分的に支持された。創造期は束ねが一人の覚悟で済むが、成熟期まで噛み合いを保つ事例も多い。丸島の「主語は経営者」を「下振れを引き受けて決定できる当事者」と読み直すのは、羽矢崎の仮説。

戦略の体系(考えるとき)

  • 原点と思想
  • 戦略の原理(三つの重心・補完資産・境界・分業と結合・所有と実行)
  • 組織と OS

実行の戦術(動くとき)

  • 実行戦術(お題・探す・作る・原理から読む)
  • 測る・確かめる(検証責任)
  • 場と共通言語

三進め方 ― 次の90日と、決めること

たたき台です 以下は羽矢崎の案で、野崎さん・楠浦さんと第10回以降に決めて書き換えます。

いつやること・成果物「できた」の判定
11月 第11回ゴールと骨格を3人で合意。置き場所・名前・役割の決め方を決める骨格 v0.1 が公開 URL にあり、3人が1ノードずつ持ち主になっている
12月 第12回配信の要約から章の差分を反映。序章〜第2部に「使える問い」v0.1。知財設計の会の再開案差分の履歴が2件残っている
1月 第13回知財設計の会(第2回)。「測る・確かめる」「所有と実行」v0.1、用語集(設計・戦略・OS)持ち寄られた事例か反論が1件以上、体系に戻っている

第10回で決めたいこと

  1. 書籍化はゴールか、節目ごとに固める版か
  2. 母艦の置き場所(もくもくサイトの一角/専用の頁/note)
  3. 名前(「知財設計」のままか)
  4. 役割の決め方(持ち主制/リレー/分担)
  5. 次の日程(第11回と、知財設計の会の第2回)

羽矢崎が引き受けること

  • 体系マップと事例分析の更新
  • 配信ごとの「章の差分」案づくり
  • 「所有と実行」の章の下書き
  • 知財設計の会の段取り

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