一言でいうと — ノーベル賞は「発見」に寄ったが、受賞者と特許の関係は人と分野によって両極に分かれる。
出発点にあるねじれを、遺言の原文と、委員会の議事録に当たった歴史研究で確かめます。
ノーベルは1896年の死去までに、世界で355件の特許を取っていました(ノーベル財団)。1895年の遺言は、自然科学の3賞を次のように定めています。
| 賞 | 遺言の言葉(英訳) | スウェーデン語の原文 | 「発明」は入るか |
|---|---|---|---|
| 物理学 | the most important discovery or invention | upptäckt eller uppfinning | 入る |
| 化学 | the most important chemical discovery or improvement | upptäck eller förbättring | 改良 |
| 生理学・医学 | the most important discovery | upptäckt | 入らない |
原文の綴り「upptäck」は遺言のとおりです。医学賞だけが「発見」に限られている点は、2章の先行研究が医学賞に偏っていることを考えるうえでも押さえておきたいところです。
ノーベル賞博物館の研究者 Källstrand(2022)は、物理学委員会の1900〜1909年の議事録に当たりました。そして1901年に、委員が「特許のある発明には賞を与えない」と委員の間で申し合わせたことを示しています。ただし規程は特許を除いていないので、正式な選考基準にはできなかったとも書いています。推薦するのは外部の推薦者なので、「推薦の対象から外した」のではなく、委員会が授賞を見送る内々の方針でした。
物理学委員会の委員は、特許のある発明には賞を与えないことを、互いの間で申し合わせた。
“the members of the physics committee agreed amongst themselves that they would not give the prize to patented inventions” … “this decision could not be an official criterion”
Källstrand, British Journal for the History of Science 55(2), 2022(和訳は当サイト)実際、1903年にマルコーニ(無線電信)が推薦されたとき、委員会は特許を理由にせず「独創性がない」として退けました(マルコーニは1909年に受賞)。1912年のダレーン(灯台の自動点灯装置)への授賞は、委員会が「技術的改良の連続」として退けていたのを、アカデミーが覆して決めたものです。
「物理学賞の受賞者の約8割は研究者で、発明家は多くて2割」という数字は、世界知的所有権機関(WIPO)の雑誌 WIPO Magazine(2019年)に載った寄稿によるものです。筆者はスウェーデン全国発明家評議会の広報担当で、物理学賞を発明家にもっと開くべきだと主張する立場から書かれています。発明家団体の国際連合 IFIA は、文中に「推薦の用意がある団体」として出てくるだけです。8割という数字の出典や数え方は示されていません。当事者の主張として読むのが適切です。
特許庁は「ノーベル賞と特許」の頁で、二つの例を挙げています。2000年の物理学賞(キルビー氏、集積回路の発明への寄与。賞の半分)と、2019年の化学賞で吉野彰氏が自身の特許発明が評価されたと述べたことです。そのうえで「実用化・商業化に向けた研究が直接ノーベル賞の受賞対象となることも増えています」と書いています。同じ頁は、2019年化学賞の選考委員長が「特許も詳細に分析した」と語ったという新聞記事も紹介しています。2014年の青色LEDも、授賞理由は「明るく省エネルギーな白色光源を可能にした効率的な青色発光ダイオードの発明」でした。
主な研究を、何を数えたか・何が言えるかで並べます。数字は原文で確かめました。
| 研究 | 対象 | 分かったこと | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| Burnett, Balas, Heboyan, Matthews (2024) Ann. N.Y. Acad. Sci. |
2000〜2019年の医学賞受賞者49人と、米国国立衛生研究所(NIH)の研究費を得ている研究者の対照群 | 受賞者は受賞前の特許が一人あたり大幅に多い(中央値5件)。受け取った研究費の総額はほぼ同じ | 「受賞者は特許が多い」の比較として最も直接的な根拠。医学賞・米国のみ |
| Burnett & Balas (2025) Scientific Data |
2000〜2023年の医学賞受賞者58人の論文・特許・研究費のデータセット | 受賞前の特許は中央値6件(0〜161件)。受賞前の米国特許庁の特許が計940件、WIPO の公報が907件 | 分析ではなくデータの記述。中央値は米国・欧州の両方で照合した後の数 |
| Nordqvist & Mattsson (2019) 書籍 Attributing Excellence in Medicine の1章 |
過去35年ほどの医学賞受賞者。特許・起業・産業界との協働・科学顧問、受賞者32人への面接 | 事業化への関与は多いが、推進役は受賞者本人ではなく外部の人々 | 学術誌の論文ではなく書籍の章。「平均より特許が多い」は他の論文が引用するときの言い換えで、章の本文では確認できていない |
| Azoulay, Ding & Stuart (2009) J. Industrial Economics |
大学の生命科学者3,862人(受賞者に限らない) | 特許を出すと論文の数が増え、質もわずかに上がる。一方で研究テーマが商業的な関心の高い方向へ動く可能性 | 受賞者の研究ではない。2006年の版では「質には影響なし」で、版によって結論が違う |
| 原・赤池・門脇 (2015) 研究・イノベーション学会 赤池ほか (2016) SciREX ワーキングペーパー |
日本の受賞者の特許・論文・研究資金、選考過程とキャリア | 特許の数と被引用を測る試み。論文・特許・研究費の本格的な突き合わせは「今後の課題」とされた | 日本の受賞者を扱う数少ない研究。特許は 知的財産研究所(IIP)のパテントデータベース |
特許庁も受賞者ごとの出願件数を公表しています(同じ優先権のファミリーは1件と数える)。2022年はベルトッツィ氏47件・シャープレス氏26件・メルダル氏14件、2021年はリスト氏15件・ジュリアス氏7件など、化学賞が多めです。WIPO Magazine は、2025年の受賞者全体で国際出願(PCT)が200件を超え、北川進氏は40件超、坂口志文氏は25件だったと報じています。
先行研究は医学賞と米国の特許に偏っている。物理学賞・化学賞と、日本の受賞者を同じ物差しで数えた研究はほとんどない。
先行研究は医学賞と米国のデータに偏っています。そこで、1973年以降に自然科学3賞を受けた日本出身の26人(受賞時に米国籍だった南部陽一郎・中村修二・真鍋淑郎の各氏を含む)について、日本の特許出願で発明者に名前があるものを数えました。
行を押すと、数え方・主な出願人・代表的な出願が下に出ます。右の帯は10年ごとの件数で、赤い枠は受賞した年代です。
26人中15人に出願があり、合計2,128件。ただし偏りが大きく、上位5人(中村・赤﨑・大村・天野・野依)で約4分の3を占めます。
受賞対象の仕事のそばに出願がある。白川英樹氏は導電性ポリアセチレンの発見(1977年)の2年後、1979年の1年だけで22件を出しています。次の出願も、受賞対象の仕事と同じ時期です。田中耕一氏の1985年の「レーザイオン化質量分析計用試料作成方法および試料ホルダ」、中村氏の1990年の404特許、吉野彰氏の1983〜86年の非水系二次電池の出願です。
物理学賞は二つに割れる。青色LEDの3人は合計1,000件を超え、理論・観測の5人(小林・益川・小柴・梶田・真鍋)は0件です。
受賞のあとも出し続ける人がいる。天野浩氏は2020年代に46件、坂口志文氏は19件。大学と企業の共同出願が中心です。
日本の特許出願の書誌(公開されている特許情報)から、発明者名が受賞者と一致する特許出願(実用新案は除く)を数えました(2026年10月8日に集計)。表記の揺れ(「赤▲崎▼」「▲そ▼合」)は含めています。
同姓同名の除き方:住所・出願人・発明の名称を見て、受賞者本人と見られる範囲に絞りました(行を押すと条件が出ます)。小林誠氏は同姓同名が2千件を超え判別できず、0件とはせず「判別不能」としました。福井謙一・小柴昌俊・鈴木章の各氏は、見つかった出願がすべて別人と判断できたので0件です。
古い出願は数えられない:1949年の湯川秀樹、1965年の朝永振一郎の両氏は、発明者の記録が揃っていない時期のため対象から外しました。発明者の記録が揃うのは、おおむね1970年代末の出願からです。江崎玲於奈・福井謙一の両氏のように若い時期に研究した人の数は、実際より少なく出ます。
日本への出願だけ:米国・欧州など外国の出願、外国で研究した時期(利根川進・南部陽一郎・下村脩・根岸英一・真鍋淑郎の各氏)は入っていません。分割出願も1件として数えています。
3章の数字と、国内外の有名な例を合わせると、受賞者と特許の関係はおおむね4つの型に分かれます。型は当サイトの整理で、一人が複数の型にまたがることもあります。
企業の研究者や、企業と組んだ研究者。中村修二(日亜化学工業)、吉野彰(旭化成)、田中耕一(島津製作所)、赤﨑勇・天野浩(豊田合成などと共同)。出願人は会社で、件数が多く、受賞対象の仕事の前後に出願が集中します。
米国のジャック・キルビー(2000年物理学賞、集積回路)もこの型です。米国の登録特許は60件超です。2010年のコラムが「特許庁調べ」として紹介した表では出願129件とされています(資料名は不明。各国の出願の延べ数と見られ、米国の登録数とは数え方が違います)。
大村智(北里研究所)、野依良治(名古屋大学・高砂香料などと)、山中伸弥(京都大学)、本庶佑(小野薬品工業と共同)、北川進(京都大学と素材メーカー)、坂口志文(大阪大学と製薬会社)。大学や研究所が出願人になり、ライセンスや共同出願で企業へ渡ります。
同じコラムの表では、野依氏の出願は日本167・米国35・欧州69件です。3章の日本の数(192件)は2015年までの出願を数えたもので、2010年以降の出願の分だけ多くなっています。特許庁の展示パネルは、野依氏の代表的な特許として特許1383525・1800526・2731377を挙げています。
理論・観測の物理:小林誠・益川敏英・小柴昌俊・梶田隆章・真鍋淑郎、2026年のハルツェン氏。成果は理論や観測で、特許の対象になる「物」や「方法」が出にくい分野です。
あえて出さなかった:キュリー夫妻はラジウムの調製法を公開し、特許を取りませんでした。根岸英一氏は「特許を取得しなければ、我々の成果を誰でも気軽に使える」と考え、「半ば意識的に」取らなかったと述べています。鈴木章氏は、公費の研究だったことと並べて「僕の怠慢。あのころは大学で特許を取ることなんてなかった」とも語っています。グラフェンのガイム氏は出願の直前まで準備しながら、大手電子企業の出願の勢いを見て、その段階では意味がないと判断しました。
価値が大きい発明ほど、誰のものか(帰属)といくらか(対価・ロイヤルティ)が争われます。青色LEDの404特許、PD-1、CRISPR が代表例です。下の表で、裁判所が判断したことと当事者が主張・合意したことを分けて示します。
| 件 | 当事者の主張・請求 | 裁判所・審判の判断 | 和解・合意 |
|---|---|---|---|
| 404特許 (特許第2628404号、1990年出願・日亜化学工業) 2014年物理学賞 |
中村氏は職務発明の相当対価を請求。提訴時の20億円から段階的に増やし、最終の請求は200億円(一部請求) | 東京地裁 2004年1月30日判決:会社の独占の利益 1208億円 × 発明者の貢献度 50% = 相当対価 604億円と認定。請求額を超えては命じられないため、200億円の支払いを命じた | 東京高裁 2005年1月11日、裁判所の和解勧告に基づき約8.4億円(相当対価6億0857万円+遅延利息2億3534万円)で和解。対象は404特許だけでなく中村氏の職務発明すべて。日亜は額に納得していないと発表 |
| PD-1 (本庶佑氏・小野薬品工業) 2018年生理学・医学賞 |
本庶氏は、小野薬品が対メルク訴訟で得た金の分配として約262億円を請求(大阪地裁、2020年6月提訴) | 判決は出ていない | 2021年11月12日、裁判所の勧めで和解。本庶氏へ50億円、京都大学の基金へ230億円を寄付、ロイヤルティ料率は変えない。別に、小野・ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)とメルクは2017年1月に全世界で和解(一時金6.25億ドル+売上に応じたロイヤルティ) |
| CRISPR-Cas9 (カリフォルニア大学ほか 対 ブロード研究所) 2020年化学賞 |
どちらが先に「真核細胞での使い方」を発明したか(米国の抵触審査) | 2022年2月 審判部がブロード側の先発明を認定 → 2025年5月 連邦巡回区控訴裁判所が「着想」の基準の誤りを理由に一部を取り消し差し戻し → 2026年3月 差し戻し審で再びブロード側。カリフォルニア大学・ウィーン大学・シャルパンティエ氏の側は2026年5月に再び上訴したと報じられている | 2026年10月時点で確定していない |
CRISPR では、受賞者(シャルパンティエ、ダウドナ)の側が、米国の先発明の争いで2度の審判とも退けられています(控訴審では一部を取り戻しました)。審判は「誰が先に、どこまで具体的に着想したか」を見るもので、科学への貢献の大きさを測るものではありません。特許紛争の勝敗から科学的貢献の大小を読み取るべきではない、という指摘があります(Sherkow, EMBO Reports 2017)。
「特許の争いが分野を分断する」という懸念には、古典があります。権利者が多すぎると互いに止め合い、資源が使われなくなるという「アンチコモンズ」の議論です(Heller & Eisenberg, Science 1998)。CRISPR については、別の指摘もあります。大学が、自分の研究者の起こした会社に治療用途を一括して独占ライセンスする「代理ライセンス」が、開発の詰まりになりうるというものです(Contreras & Sherkow, Science 2017)。
10月5日から7日に発表された自然科学3賞を、受賞者ごとの特許で見ていきます。受賞者は公式発表で、特許は Google Patents・欧州特許庁のファミリー情報・日本の公報で確かめました(2026年10月8日時点)。
授賞理由は「光で開くイオンチャネルと光遺伝学に関する発見」。受賞者はカール・ダイセロス氏(スタンフォード大学)、ペーター・ヘーゲマン氏(ベルリン・フンボルト大学)、ゲオルク・ナーゲル氏(ヴュルツブルク大学)の3人です。
チャネルロドプシンを「光で直接開くイオンチャネル」として使う基本特許は、マックス・プランク協会の国際出願 WO2003/084994(優先日 2002年4月11日、名称 “Use of biological photoreceptors as directly light-activated ion channels”)です。発明者はヘーゲマン、ナーゲル、エルンスト・バンベルクの3氏。米国では US 7,824,869 など、欧州では欧州特許 EP 1492881 と分割の EP 2055714 になりました。いずれも存続期間満了などで消滅しています。
マックス・プランク協会の技術移転会社は2011年9月、この技術をサノフィの子会社 Fovea Pharmaceuticals にライセンスしました。サノフィは世界での独占権を得て、契約一時金とマイルストーンで最大2,640万ユーロを払う条件でした。対象は網膜色素変性症や加齢黄斑変性などの網膜の病気全般で、光遺伝学による視力回復の遺伝子治療をねらうものです。なお、プレスリリースは特許番号を挙げていません。対象がこのファミリーだというのは当サイトの推定です。
ダイセロス氏の研究室は、光遺伝学の道具(プラスミド)を寄託機関の Addgene を通じて大学・非営利の研究者に配っていますが、企業には提供していません。研究の世界には配り、産業利用は特許とライセンスで別に扱う、という二本立てです。ナーゲル氏・ヘーゲマン氏の世代の発見と、それを使える道具にしたダイセロス氏の世代が、別々の特許の束を持っていることになります。
ダイセロス氏の件数:Google Patents で発明者 Deisseroth・米国・登録に絞り、発明者名が Karl Deisseroth/Karl A. Deisseroth のものを数えると116件(2026年10月8日)。権利者はスタンフォード大学が109件、Circuit Therapeutics が6件です。同姓の別人(Albert B. Deisseroth など)は除きました。欧州特許庁のデータでは収録の違いでより少なく出ます。
硤合憲三氏は、日本の特許出願に発明者として26件の名前が見つかりました(3章)。INPIT(工業所有権情報・研修館)も受賞翌日の談話で、硤合氏が「発明者として多くの特許に名を連ねて」いると述べています。1978年から、光学活性なアルコールの製法を中心に、日本アルキルアルミ・日本サーファクタント工業などの化学企業と出しています。硤合反応そのものの系統(ピリミジルアルキルアルコール、自発的な不斉合成、水晶、電場をかけた結晶)は、姉妹頁の9章で4件を公報から読みました。その4件がなぜ権利として残らなかったかは続編で、不斉合成の技術が実際にどの特許で稼がれたかは別の頁で考えています。
アンリ・カガン氏は、欧州特許庁のファミリー情報で本人と見てよいものが7ファミリー(約25公報)あります。代表は1970年のフランス石油研究所の出願で、不斉水素化の配位子 DIOP の特許です(US 3,798,241、仏・独・英・日本にも出願)。受賞対象の「非線形効果」の発見(1986年)そのものの特許は見つかりませんでした。不斉合成の道具(配位子や製法)は特許になり、現象の発見は論文になる、という分かれ方が2人に共通して見えます。
物理学賞は、フランシス・ハルツェン氏(ウィスコンシン大学マディソン校)の単独受賞です。授賞理由は「アイスキューブ・ニュートリノ観測所への決定的な貢献と、宇宙からの高エネルギー・ニュートリノの発見」です。Google Patents と欧州特許庁のデータで発明者 Halzen を探しても、特許は0件でした。観測装置は大勢の共同研究で作られ、成果は観測データと論文として出ます。日本の小柴昌俊・梶田隆章両氏(3章で0件)と同じ型です。
先行研究は医学賞と米国の特許に偏っていました。この頁の3章は、その空白の一部(日本出身の受賞者の日本の出願)を埋める試しです。残っている問いを、調べ方と合わせて並べます。
| 問い | 何が分かれば答えになるか | どこで調べるか |
|---|---|---|
| 誰の名義か(大学・企業・個人) | 受賞者ごとの出願人の内訳と、その時代による変化(国立大学の法人化は2004年) | J-PlatPat(出願人で検索) |
| 外国にどれだけ出したか | 日本の出願を起点にしたファミリー(同じ発明の各国出願)の数と国 | 欧州特許庁の INPADOC ファミリー、Google Patents |
| 発明者と受賞者のずれ | 受賞対象の基本特許の発明者のうち、受賞しなかった人(2026年のバンベルク氏のような例) | 授賞理由の科学的背景(nobelprize.org)と基本特許の発明者欄 |
| 使われたか | ライセンスの有無・相手・条件、製品化 | 大学・企業のプレスリリース、決算資料、訴訟記録 |
| 受賞で変わるか | 受賞の前後で出願数・共同出願の相手が変わるか(3章の帯を受賞年でそろえて比べる) | 3章と同じデータを受賞年基準に並べ替える |
| 物理・化学と医学の違い | 同じ方法で3賞をそろえて比べる(先行研究は医学賞だけ) | 海外の受賞者は米国特許庁・欧州特許庁のデータで同じ集計 |
inventor:"Karl Deisseroth" と入れ、国を US、状態を「登録」に絞ってみる。発明者名の表記(Karl A. Deisseroth など)で件数がどう変わるか、別人(同姓の Albert B. Deisseroth)が混じらないかを確かめる。この頁は、ノーベル賞と特許の既存研究を4つの論点にまとめた要約から出発しました。原文に当たって、次の点を直しています。
| 元の要約 | 確かめた結果 |
|---|---|
| IFIA の整理では物理学賞受賞者の約8割が研究者 | 出所は WIPO Magazine(2019)の寄稿(スウェーデン全国発明家評議会の広報担当)。IFIA の文書ではなく、8割の数え方も示されていない |
| 1901年に特許取得済みの発明者を推薦対象から外した | 委員の間の非公式な申し合わせで、正式な基準ではない。推薦は外部が行う(Källstrand 2022) |
| Nordqvist & Mattsson:受賞者は一般の研究者より特許を出願しやすい | 書籍の章。中心の結論は「事業化を主導するのは受賞者本人ではない」。比較の根拠は Burnett ほか(2024) |
| 特許庁調べでキルビー129件、野依良治氏270件 | 2010年のコラムが「特許庁調べ」として紹介した数字で、資料名・年は不明。現在の特許庁の頁にこの表はない |
| 鈴木・根岸カップリングはあえて出願しなかった | 根岸氏は「半ば意識的に」。鈴木氏は公費の研究だったことと並べて「僕の怠慢」とも語っており、理念だけで説明できない |
| グラフェン関連の特許は他者により1万件超 | 英国知財庁の2015年報告で公報25,855件・13,355ファミリー(2005〜2014年公開)。マンチェスター大学自身の出願も含む数 |
| チャネルロドプシン特許は2011年に加齢性失明の遺伝子治療向けに大手製薬へ | 相手はサノフィの子会社 Fovea、最大2,640万ユーロ。対象は網膜の病気全般 |
| 化学賞の硤合氏・カガン氏は特許から遠い類型、出願状況は未確認 | 硤合氏は日本で26件、カガン氏は7ファミリー(DIOP 配位子など)。特許0件はハルツェン氏 |
英文の和訳は当サイトによるものです。4章の「4つの型」と、5章のライセンス対象の特許ファミリーの特定は当サイトの整理・推定です。判決・和解・審判は、裁判所が判断したことと当事者が主張・合意したことを分けて書きました。法的助言ではありません。